現代ポートフォリオ理論 効率的フロンティア

現代ポートフォリオ理論の効率的フロンティアについて理解します。

wikipedia の内容を、自分レベルでも理解できるようにかみ砕いていきます。

現代ポートフォリオ理論

現代ポートフォリオ理論(げんだいポートフォリオりろん、: Modern portfolio theory, MPT)とは、金融資産への投資比率(ポートフォリオ)を決定する理論。1952年ハリー・マーコウィッツによって発表された論文[1]を端緒として研究が進められた。投資におけるポートフォリオの収益率の平均 (期待値) と分散のみをコントロールするという特徴がある。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

平均分散分析(mean-variance analysis) と言われる分析方法を扱います。

それぞれの金融資産の期待収益(平均)と分散は異っているので、それらを組み合わせることで、単一の金融資産より、分散は小さく期待収益率は高くする方法です。

ここで、リスクと分散は同じ意味で使われます。

以下を前提として仮定します。

  • 投資家はリスク回避的であり、期待収益が同じならリスクが小さい方が良いとする。
  • 投資収益率は、平均\( \mu\)分散\({\sigma}^2 \)の正規分布に従う。

「分散を所与として、期待収益率がもっとも高くする資産の組み合わせ」または「期待収益率を所与として、分散を最も小さくする資産の組み合わせ」を求める方法を考えます。

投資収益率の平均や分散は過去のデータから導きだされた固定的なパラメータとして扱う静的なモデルです。

金融資産の所持割合 \(w_i\)

ある金融資産\(i\)の所持の割合、つまり重み weight を、\(w_i\)とします。これは比率なので、\( \displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n } w_i = 1\)になります。

例えば、100万円の資産でトヨタ株を50万円みずほ株を50万円持つ場合、それぞれの\(w\)は\(0.5\) になります。

収益率 \(r_i\)

4章 リスクとプレミアム

ある金融資産\(i\)の収益率を\(r_i\)とします。\(r_i\) は以下のようにして求めます。

$$ r_i = \frac {{AssetPrice}_n – {AssetPrice} _{n-1}} { {AssetPrice} _{n-1} } $$

\( n \) を年で考えれば年次の収益率、日で考えれば日次の収益率となります。

収益率を正規分布として矛盾なく考えるため、通常は収益率の対数をとった以下のような対数収益率を、収益率として用います。

$$ r_i = \ log (\frac {{AssetPrice}_n } { {AssetPrice} _{n-1} } )$$

このように定義することで、対数収益率は収益率が正の場合は0より大きく、ゼロの場合は0に、収益率が負の場合は0より小さくなります。

極端な例として、倒産した場合、通常の収益率では \(-1\) 、対数収益率では\( – \infty \)となることを考えると、対数収益率を使う理由が理解しやすいです。

期待収益率 \( {\mu}_i \)

ある金資産\(i\)の期待収益率\( {\mu}_i \)は、\(E\)を期待値として、以下のように求まります。

$$ {\mu}_i = E(r_i) $$

ポートフォリオの期待収益率

ポートフォリオの期待収益率 \( {\mu}_p\)は、 ある金融資産\(i\)の所持割合 \(w_i\) と収益率 \(r_i\)を使って、以下のように表現できます。

$$ {\mu}_p = E( {\displaystyle \sum_{ i } w_i \cdot r_i} ) $$

これは以下のように式変形できます。

$$ \begin{align} {\mu}_p & = E( {\displaystyle \sum_{ i } w_i \cdot r_i} ) \\ & = {\displaystyle \sum_{ i } w_i \cdot E (r_i)} \\ & = {\displaystyle \sum_{ i } w_i \cdot {\mu}_i } \\ & = {\boldsymbol{ w }}^{ \mathrm{ T }} {\boldsymbol{ \mu} } \end{align} $$

収益率の分散と共分散

ある金融資産\(i\)の収益率の分散\( {\sigma}^2_i \)は、以下のように求まります。

$$ {\sigma}^2_i = E [(r_i – {\mu}_i)^2] $$

また、 ある金融資産\(i\)の収益率とある金融資産\(j\)の収益率の共分散\( {\sigma}_{ij} \)は、以下のように求まります。

$$ {\sigma}_{ij} = E [(r_i – {\mu}_i) (r_j – {\mu}_j) ] $$

共分散は、2つの金融資産の収益率がともにどのように変化するかを計る指標で、 \( {\sigma}_{ij} >0 \) であれば2つの金融資産の収益率は同じ方向に動く傾向があり、 \( {\sigma}_{ij} <0 \)であれば2つの金融資産の収益率は逆に動く傾向があります。

ポートフォリオの収益率の分散

2つの金融資産\(A\) \(B\)のポートフォリオの収益率の分散\( {\sigma}^2_p\)を考えます。

ポートフォリオの収益率の分散の求め方 数式

$$ {\sigma}^2_p = w_A^2 {\sigma}_A^2 + w_B^2 {\sigma}_B^2 + 2 w_A w_B {\sigma}_{AB} $$

上式はさらに以下のように変形できます。

$$ \begin{align} {\sigma}^2_p & = w_A^2 {\sigma}_A^2 + w_B^2 {\sigma}_B^2 + 2 w_A w_B {\sigma}_{AB} \\ & = ( w_A w_B) \begin{pmatrix} {\sigma}_A^2 & {\sigma}_{AB} \\ {\sigma}_{AB} & {\sigma}_B^2 \end{pmatrix} \left( \begin{array}{c} w_A \\ w_B \end{array} \right) \end{align} $$

\(n\)個の金融資産について一般化します。

多数資産の組み入れ

\(n\)個の金融資産の収益率の分散共分散行列を\( \Omega \)とします。

$$ \begin{eqnarray} \Omega = \left( \begin{array}{cccc} {\sigma}_1^2 & {\sigma}_{12} & \ldots & {\sigma} _{ 1n } \\ {\sigma} _{ 21 } & {\sigma}_2^2 & \ldots & {\sigma} _{ 2n } \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ {\sigma} _{ n1 } & {\sigma} _{ n2 } & \ldots & {\sigma}_n^2 \end{array} \right) \end{eqnarray} $$

ポートフォリオの収益率の分散 \( {\sigma}^2_p\) は以下のようになります。

$$ {\sigma}^2_p = {\boldsymbol{ w }}^{ \mathrm{ T }} {\boldsymbol{ \Omega} \boldsymbol{ w } } $$

効率的フロンティア

\(w\)を様々な値に変化させた場合のポートフォリオの期待収益率と収益率の関係を、以下のようなリスク・リターン平面として図示することができます。

この中で、分散を所与とした時に期待収益率を最大化する点の集合を効率的フロンティアと呼び、それぞれがある分散を所与とした場合の、またはある期待収益率を所与とした場合の、望ましいポートフォリオになります。