DCF法

DCF法(DCFほう)は、収益資産の価値を評価する方法の1つ。具体的には、株式不動産その他多様な投資プロジェクトの価値を算出する場合に用いられる。Discounted Cash Flow 法の略で、ただ DCF とだけいう場合も多い。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

DCF法とは、ある金融資産を評価する時に、その金融資産から将来生まれるキャッシュフローを現在価値に割り引いて、その総和をその金融資産の価値とする、という単純な方法です。

\(t_1, t_2, \cdots, t_n\)でそれぞれ\(c_1, c_2, \cdots, c_n\)のキャッシュフローが生じる金融資産を考えます。

\(t_i\)でのキャッシュフロー\(c_i\)の現在価値\(PV_i\)は、割引率\(d(t_i)\)を用いると以下のように表すことができます。

$$ PV_i = d(t_i)c_i $$

この金融資産の現在価値は、それぞれのキャッシュフローの現在価値の和として考えることができるので、以下のように表せます。

$$ \begin{align} PV &= d(t_1) c_1+ d(t_2)c_2+ \cdots + d(t_n)c_n \\ &= \displaystyle \sum_{i=1}^n d(t_i)c_i \end{align} $$

\(t_i\)年の1年の利子率を\(r(t_i)\)とした時、DCF法での現在価値は以下のようになります。

$$ \begin{align} PV &= \frac{c_1}{(1+r(t_1))^{t_1}} + \frac{c_2}{(1+r(t_2))^{t_2}} + \cdots + \frac{c_n}{(1+r(t_n))^{t_n}} \\ &= \displaystyle \sum_{i=1}^{n} \frac{c_i}{(1+r(t_i))^{t_i}} \end{align} $$

\(t_i\)での連続利子率\(\rho(t_i)\)とした時、DCF法での現在価値は以下のようになります。

$$ \begin{align} PV &= e^{- \rho(t_1)t_1}c_1 +e^{- \rho(t_2)t_2}c_2 + \cdots + e^{- \rho(t_n)t_n}c_n \\ &= \displaystyle \sum_{i=1}^n e^{- \rho(t_i)t_i}c_i \end{align} $$

残存期間1年の額面10万円のゼロクーポン債の現在割引価値を、利子率5%で考えます。

割引率\(d(1)\)は、

$$ d(1) = \frac{1}{1+0.05} \fallingdotseq 0.95238 $$

よって、

$$ PV = d(1) c_1 = 0.95238 \cdot 100,000 = 95,238 $$

残存期間2年の額面10万円のゼロクーポン債の現在割引価値を、利子率5%で考えます。

割引率\(d(1)\)、\(d(2)\)は、

$$ d(1) = \frac{1}{1+0.05} \fallingdotseq 0.95238 $$

$$ d(2) = \frac{1}{(1+0.05)^2} \fallingdotseq 0.90703 $$

また、\(c_1=0\)、\(c_2=100,000\)となります。

よって、

$$ \begin{align} PV &= d(1) c_1 + d(2) c_2 \\ &= 0.95238 \cdot 0 + 0.90703 \cdot 100,000 = 90,703 \end{align}$$

1年物リスクフリーレート5%、2年物リスクフリーレート6%の時、1年目に30,000円、2年目に60,000円のキャッシュフローが生じる、無リスクの金融資産の現在割引価値を考えます。

$$ d(1) = \frac{1}{1+0.05} \fallingdotseq 0.95238 $$

$$ d(2) = \frac{1}{(1+0.06)^2} \fallingdotseq 0.88999 $$

よって、

$$ \begin{align} PV &= d(1) c_1 + d(2) c_2 \\ &= 0.95238 \cdot 30,000 + 0.88999 \cdot 60,000 = 81,971 \end{align}$$