一物一価の原則
財\(A\)と\(B\)の時点\(t\)での価格を\(P_A(t)\)、\(P_B(t)\)とします。
ある時点\(T \gt 0 \)で\(Prob(P_A(T)=P_B(T))=1\)が成り立つ時、\(P_A(0)=P_B(0)\)であるか、またはアービトラージが存在します。
アービトラージが存在しないと仮定すると、\(P_A(0)=P_B(0)\)になります。
アービトラージの定義
あるポートフォリオの時点\(t\)での価値を\(V(t)\)とすると、
$$ V(0) \leq 0 $$
であり、ある時点\(T \gt 0 \)では、
$$ Prob(V(T) \lt 0) = 0 \quad かつ \quad Prob(V(T) \gt 0) \gt 0 $$
となるポートフォリオがアービトラージです。
証明
\(P_A(0) \neq P_B(0)\)の時、アービトラージが存在することを証明します。
\(P_A(0) \neq P_B(0)\)とは、\(P_A(0) \gt P_B(0)\)または\(P_A(0) \lt P_B(0)\)です。
まず、\(P_A(0) \gt P_B(0)\)を考えます。
\(t=0\)の時点で、\(A\)をショート、\(B\)をロングしたポートフォリオの価値\(V(t)\)は、\(t \gt 0\)で利子率\(r\)を使い以下のように表せます。
$$ V(t) = – P_A(t) + P_B(t) + [P_A(0) – P_B(0)]e^{rt} $$
ここで、ある時点\(T \)で\(Prob(P_A(T)=P_B(T))=1\)が成り立つので、時点\(T \)でポジションを解消します。
$$ \begin{align} V(T) &= – P_A(T) + P_B(T) + [P_A(0) – P_B(0)]e^{rT} \\ &= [P_A(0) – P_B(0)]e^{rT} \end{align}$$
\(P_A(0) \gt P_B(0)\)なので、\([P_A(0) – P_B(0)]e^{rT} \gt 0\)であり、アービトラージになっています。
\(P_A(0) \lt P_B(0)\)の場合も同様に考えます。
よって、ある時点\(T \gt 0 \)で\(Prob(P_A(T)=P_B(T))=1\)が成り立つ時、\(P_A(0)=P_B(0)\)であるか、またはアービトラージが存在します。