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ブラック–ショールズ方程式

モダンポートフォリオ理論では、ポートフォリオを組むことで個別資産のリスクを低減させることができました。

現代ポートフォリオ理論の効率的フロンティアについて理解します。 wikipedia の内容を、自分レベルでも理解できるようにかみ砕いていきます。 現代ポートフォリオ理論 現代ポートフォリオ理論(げんだいポートフォリオりろん、英:Modern portf...

さらに、資本資産価格モデル CAPMを使うことで、モダンポートフォリオ理論では低減することのできないマーケットリスクをβとして把握することができました。

資本資産価格モデル(しほんしさんかかくモデル、英:Capital Asset Pricing Model,CAPM、シーエーピーエム、キャップエム)とは、金融資産の期待収益率のクロスセクション構造を記述するモデル。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipe...

ブラック・ショールズモデルは、ある時点での金融資産の価格を論理的に計算することのできるモデルです。

以下のPDFがブラック–ショールズ方程式まで含めオプションの価格付けについて 、とてもわかりやすかったです。 計算ファイナンスの基礎 ブラウン運動とウィーナー過程 ブラウン運動 ある株Sの期間の収益率をR(t)とします...

ブラック・ショールズモデルを使うことで、例えば、オプションと現物株を組み合わせることで、マーケットリスクを除いたポートフォリオを組むことができます。

デルタヘッジ

ある現物株のオプション価格Vを考えます。

Vのパラメータとしては、現物株の価格S、時点t、現物株のドリフトμ、現物株のボラティリティσ、オプションの行使価格E、オプションの期限T、無リスク資産の利子率rを考えます。

V(S,t,μ,σ,E,T,r)

ここで、このある現物株が値上がりしたとします。

するとこの株のコールオプションの価格は当然ながら上昇します。

つまり、現物株の価格とコールオプションの価格には正の相関関係があります。

ここで、オプションと現物株を組み合わせた以下のようなポートフォリオπを考えます。

π=V(S,t)ΔS

V(S,t)はオプションのロングでΔSは現物のショートと考えると、このポートフォリオπは、現物株とそのオプションを使い価格の上下をキャンセルしているポートフォリオとみなすことができます。

現物株の価格Sは、dXをウィーナー過程として、以下の微分方程式に従うとします。

dS=μSdt+σSdX

ポートフォリオπの微分方程式は以下のようになります。

dπ=dV(S,t)ΔdS

ここで、dV(S,t)は、伊藤の公式を使い以下のように表すことができました。

dV(S,t)=Vtdt+VSdS+12σ2S22VS2dt

つまり、

dπ=Vtdt+VSdS+12σ2S22VS2dtΔdS

dπ=(Vt+12σ2S22VS2)dt+(VSΔ)dS

ポートフォリオπ を、ドリフトとボラティリティに分けて考えることができます。

また上式より、Δ=VSとなるように Δを選ぶことでボラティリティがゼロのポートフォリオ、つまりリスクがゼロのポートフォリオを構成することができ、デルタニュートラルと呼ばれます。

In financedelta neutral describes a portfolio of related financial securities, in which the portfolio value remains unchanged when small changes occur in the value of the underlying security. 

From Wikipedia, the free encyclopedia

また、デルタを利用してリスクをヘッジするので、デルタヘッジとも呼ばれます。

無裁定価格理論とブラックショールズ方程式

無裁定価格理論(むさいていかかくりろん、: no arbitrage pricingまたは: arbitrage-free pricing)とは、裁定取引が存在しないことを仮定して商品の価格付けを行う理論のことである。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

無裁定価格理論とは、端的に述べれば、完全競争市場では「リスクを取らなければ利益はない」という理論です。

デルタヘッジを使うことで、以下のような確定的な利益を生むポートフォリオπを組むことができます。

dπ=(Vt+12σ2S22VS2)dt

無裁定価格理論を前提とすると、 ポートフォリオπ はリスクがないので、無リスク資産の利子率rを使い、以下のようにならなければなりません。

dπ=rπdt=r(VSVS)dt

よって、

Vt+12σ2S22VS2+rSVSrV=0

というブラックショールズ方程式と呼ばれる偏微分方程式が得られます。

ブラック–ショールズ方程式(ブラック–ショールズほうていしき、: Black–Scholes equation)とは、デリバティブの価格づけに現れる偏微分方程式(およびその境界値問題)のことである。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ブラックショールズ方程式の解

ブラック–ショールズ方程式の解

ブラックショールズ方程式を解くと、コールオプションの価格C、プットオプションの価格Pは以下のようになります。

N(x)=12πxey22dy

d1=log(StE)+(r+σ22)(Tt)σTt

d2=log(StE)+(rσ22)(Tt)σTt=d1σTt

として、

C=S(0)N(d1)Eexp(r(Tt))N(d2)

P=S(0)N(d1)+Eexp(r(Tt))N(d2)

グリークス

ブラックショールズ方程式は、以下のように表されました。

Vt+12σ2S22VS2+rSVSrV=0

ブラックショールズ方程式は、ギリシャ文字を使い定義されたグリークスと呼ばれる変数を使うことで、以下のように表されることがあり、見通しが良くなります。

Θ+12σ2S2Γ+rSΔrV=0

デルタ

Δ=VS

株価に関するオプション価格の変わりやすさです。

ガンマ

Γ=2VS2

デルタの変わりやすさで、デルタヘッジを行う場合のポジション調整の頻度と考えることができます。

シータ

Θ=Vt

時間に関するオプション価格の変わりやすさです。

ロー

ρ=Vr

利子率に関するオプション価格の変わりやすさです。

ベガ(カッパ)

κ=Vσ

リスクに関するオプション価格の変わりやすさです。