以上の議論より、先渡し価格\(K_T\)は以下のように定まります。
$$ K_T = e^{rT}S(0) $$
\(K_T \neq e^{rT}S(0)\)の場合はアービトラージが生じます。
\(K_T \gt e^{rT}S(0)\)の場合のアービトラージをキャッシュ・アンド・キャリー、\(K_T \lt e^{rT}S(0)\)の場合のアービトラージをリバース・キャッシュ・アンド・キャリーと呼びます。
逆に、アービトラージが存在しないと仮定する場合は、\(K_T = e^{rT}S(0)\)となります。
キャッシュ・アンド・キャリー
\(K_T \gt e^{rT}S(0)\)の時「高いものはショート、安いものはロング」するので、\(t=0\)の時点で、先渡し契約でショート側に立ち、また\(S(0)\)を借り入れて原資産を購入します。
$$ V(t) = S(t) – e^{rt} S(0) $$
\(t=T\)の時点で、先渡し契約が実行されるので、原資産を引き渡し\(K_T\)を受け取るので、以下のように必ず正の利益を手にすることができます。
$$ V(T) = K_T – e^{rT} S(0) \gt 0 $$
リバース・キャッシュ・アンド・キャリー
上をただ逆にするだけです。
\(K_T \lt e^{rT}S(0)\)の時「高いものはショート、安いものはロング」するので、\(t=0\)の時点で、先渡し契約でロング側に立ち、また\(S(0)\)をショートして、得た金額をリスクフリーレートで運用します。
$$ V(t) = -S(t) + e^{rt} S(0) $$
\(t=T\)の時点で、先渡し契約が実行されるので、原資産を受け取り\(K_T\)を支払うので、以下のように必ず正の利益を手にすることができます。
$$ V(t) = e^{rT} S(0) – K_T \gt 0$$